Chrome Web Storeはただのリンクなわけじゃないとそろそろ主張してみる

5月16日にChromeウェブストア日本語版がオープンしました。うちのCrowyも出店させてもらっています。


Chrome Web Storeはその名の通り、Webアプリのストアです。
iPhone App StoreiPhoneで動くアプリのストアであることとと対比すれば、Chrome Web StoreはChromeブラウザで動くアプリのストアです。
そこに行けば、Webアプリだけを簡単に探せて、評価も見れて、インストールも簡単にできます。


でも、よく言われるのが「これってただのリンクじゃん」という意見。
うん。まあそうです。そうなんですが、それでChrome Web Storeが価値がないように言われるのはちょっと心外だなあと思うので、一言書いてみます。
僕も英語版が去年オープンしたときに同じ感想を持ったので、みなさんの意見は理解できます。でも、だんだんChrome Web Storeの意義というものを理解してきたように思うので、書いてみます。*1


ちょっと長くなりそうなので、アジェンダを。

  • 二種類のChromeウェブアプリに違いはない
  • アプリっぽいって何? / WebサイトとWebアプリ
  • Webアプリを探す方法
  • Chrome Web Storeの心配なところ

二種類のChromeウェブアプリに違いはない

技術的にそれなりに詳しい人はChrome Web Storeのアプリには二種類あることを知っています。それはHosted AppPackaged Appです。おおざっぱに言えば、前者は「ただのリンク」で、後者は「ブラウザ上で動くクライアントアプリケーション」という感じです。技術的に詳しくて「これってただのリンクじゃん」という人はHosted Appを非難し、Packaged Appだと満足しているような気がします。*2

さて、ここで一つ問題です

日本語版オープンと共に、華々しくリリースしたはてなブックマークの公式Chromeウェブアプリ。デスクトップアプリっぽくてきれいですよね?
これはHosted Appでしょうか?Packaged Appでしょうか?

答え

Hosted Appです。そう。「ただのリンク」です。
他のブラウザでは動かないようになっているので、わかりにくいですが、Hosted Appです。
簡単な見分け方はアドレス欄を見ることですね。アドレス欄が空欄になってたら、Packaged Appで、http://みたいな普通のURLが表示されてたら、Hosted Appです。
有名なPackaged AppはTweetDeckですかね。


僕も最初見たとき、はてなブックマークはPackaged Appだろうと思っていました。あれ?URL表示されてる。って気づくのに1日くらいかかりました。


ここで何が言いたいかというと、Hosted AppかPackaged Appかなんて普通に使う分には区別がつかないということです。*3
Web Storeにとって重要なのはそれがアプリっぽいかどうかです。

アプリっぽいって何? / WebサイトとWebアプリ

Web黎明期にインターネット上にはWebアプリは(たぶん)ありませんでした。全部いわゆるホームページ(=Webサイト)でした。
この時代は、Web上から欲しい情報を探すには検索エンジンで十分でした。
現在は、Web上のコンテンツは大別してWebアプリとWebサイトの二種類に分類できるでしょう。(曖昧なサービスもありますがね。)
Webアプリというものが増えてきているということには多くの人が同意してくれるのではないでしょうか?


有名なところでWebアプリの例を挙げてみると

こんなところは、Webアプリと言えるでしょう。
YouTubeSlideShareFlickrTwitterみたいなサイトは両方の側面があるのかなと思います。
はてなブックマークも同様ですね。だからはてなさんはChrome Web Store用にアプリっぽいビューを用意したのだと思います。
そして、GmailやHootSuiteはただのリンクにしている。元々アプリっぽいからわざわざアプリっぽいビューを用意する必要がないのです。


なんとなく僕の言う「アプリっぽい」って感じ、伝わりましたか?

  • 自分専用のツールっぽいものがWebアプリ
  • みんなが同じ画面を見るものがWebサイト

言葉にしてみるとこんな感じでしょうか。


GoogleさんもThinking in Web Appsという記事でChrome Web Storeに掲載するのは、こんなアプリっぽいWebサイトを作りましょうって言ってます。

Webアプリを探す方法

さて、Webアプリを探すにはどうしていますか?
僕の場合は・・・能動的に探すときはやっぱりググりますかね。でも、だいたいメジャーなアプリの説明とか感想とかがヒットしますよね。
比較とか一覧とかあっても、情報が古かったり、書いた人の比較なので主観が大きかったりします。
新しい情報はアルファブロガーのレビューなどを待たなければ見つからないのが現状でしょう。
となると、iPhoneApp StoreAmazonみたいのが欲しいよねってなりませんか?


例えば、Webチャットツールを探してみましょう。
Google検索で探す場合は、「web chat - Google検索」って感じにググりますかね。

こんな結果になって、当然ですが、TOKYO FMWEB LOCKS! 〜チャットLOCKS!〜とか、SBI損保 Webチャットサービスとはとか、目的とは違うものもいっぱいヒットします。
そして評価もわからないから、どれがいいのかもわからない。もし新しくていいアプリがリリースされていても、新しいのなんか見つからない。

Chrome Web Storeで検索してみましょう。chat - Chrome ウェブストア

Webアプリしか見つからないし、その使用ユーザ数も評価もわかる。すごく探すの楽じゃありませんか?
僕にとっては知らないアプリもいっぱいです。

Chrome Web Storeの心配なところ

でも、いろいろまだまだなところも多いです。

  • 検索結果がソートできない。
  • 新着一覧がない。
  • ランキングがない。
  • 人気アイテムってあるけど、基準がわからない。
  • 別にアプリっぽいのだけじゃなくて普通のサイトも(さらには他人のサイトも)掲載できちゃうから、ゴミだらけにならないか心配。

上の4つはたぶん普通に機能追加されていくと思うのですが、一番最後が心配です。
前節に書いた通り、「Webアプリ」だけを探せることに意味があるので、「アプリっぽい」サイトのみを掲載しないとChrome Web Storeの価値がなくなってしまうと思うんです。心配です。
実際にただのブログのようなサイトが掲載されていたりしています。こういうのは防いでほしいですね。
掲載するには$5必要とか、そのドメイン所有者かどうかを表示できるとか、対策は見受けられるんですが、Appleみたいに審査した方がいいんじゃないかなあと個人的には思います。Googleさんはやらなそうですが。

最後に

まだまだなところも多いChrome Web Storeですが、私はコンセプトは正しいと思うし、必要だと思います。
そしてChromebookが出てきた日には、Chrome Web Storeは本当にiPhoneにおけるApp Storeと同等の意味を持つでしょう。


Mac App Storeも同じだと思うんだが、どうしてChrome Web Storeは妙に疑問視されるのかなあ?
あれもただインストーラーへのリンクだよね?それを探しやすく、他人の評価がわかり、支払いも簡単に。
同じじゃないかなあ?

*1:いや、別にCrowyがただのリンクである言い訳じゃないですよ。

*2:僕がそうでした。HootSuiteただのリンクじゃん。TweetDeckすげーってw

*3:技術的にできることに違いはありますが、それは開発者が要件と工数に合わせて選択すればいいと思います。ユーザにとっては違いはないという意味です。